設計をする上で最も重要なのは、
家の形でも大きさでも間取りでもなく、
そこでどんな暮らし方をしたいか
ということだと私は考えています。
「休みの日に思い切りくつろぎたい」
「洗濯や掃除が気持ちよくできるようにしたい」
「子どもの気配をいつも感じていたい」
「友だちとわいわいできるスペースがほしい」
誰もがそれぞれの「こうしたい」を持っています。
それを実現することができる家が、
その人にとっての最高の家。
だから家のプランニングには
決まった形など実はないのです。
ではどうすれば、自分たちらしい
暮らし方のできる家になるのでしょうか。
それは、
自分たちが家を操作できるようにつくることです。
家を操作するなんて、すごいことのようですが、
方法は至って簡単。
名前のついた部屋をつくらないこと。
それだけで家は俄然いきいきしてきます。
なぜいきいきしてくるかわかりますか?
それはそこに住むあなた自身が
「ここを何に使おうかな」と考え始めるから。
考えることによって、あなたの望む暮らし方に、
家がフィットしてくるのです。
ここはリビング、ここは寝室というように、
与えられたものを受け入れていた状態から、
自分で使い方を考え、
暮らし方に合わせた家にしていく喜びを知ると、
もう家はあなたの遊び場。
子どもの成長やライフスタイルの変化に合わせ、
いくらでも家を変化させることができます。
そんな住みこなし術を、
できるだけ多くの人に身に付けてもらいたい
と思い考えたのが、Style@HOMEです。
Style@HOMEには間仕切りはほとんどありません。
自分たちで考えて、扉を設けることも、
また外すことも簡単にできます。
そして、今回私が絶対に取り入れたかったのが、
玄関を入ったところの広い土間。
リビングと隣り合っているこの土間には、
2階のテラスから光と風が注ぎ込み、
家の中にありながら屋外にいるようにも感じられます。
ここをどう使いこなすかによって、
家は全く違った表情を見せてくれるはず。
どんなアイデアが出てくるか、とても楽しみです。
Style@HOMEは"できて満足"する家ではなく、
"できてから感性を刺激"してくる家。
自分たちの個性がいっぱい詰まった
楽しい家をぜひ創り上げていってください。

Style@HOMEでは、
部屋の使い方は自由に変えられますが、
窓の位置や大きさ、採光は、
私があらかじめ決めた通りにしてもらっています。
なぜなら、私は"風光については
プロに任せた方がいい"と思っているからです。
風と光をあやつるにはテクニックが必要です。
窓を大きく、たくさんとれば、
光や風が十分に入るというものでもありません。
また、ひと口に窓と言っても、
風を入れるための窓、光を入れる窓、
そして人が出入りする窓など、
それぞれに役割が違います。
風は下から入れて上から抜いた方がいいなど、
部屋の中の空気の流れも計算しなくてはなりません。
Style@HOMEは、狭小地でも北向きでも、
敷地を選ばずに建てられることが、
設計の際の大きな条件でした。
隣家との間のスペースが狭く、
窓を開けることができない。
北向きで日照時間が短い。
そんな場所でも、十分な光と風を
取り入れることができるようにするためには
どうすればよいか―。
私はコートハウスの考え方を
取り入れることにしました。
つまり、外部面に大きな窓を設置せず、
中庭的な吹き抜けやフリースペース部に
大きな開口を設けたのです。
窓や外壁の配置バランスにより
外部からの視線を遮断、建て込んだ住宅地でも、
窓を開放することができるようになりました。
空から直接光を取り入れるので、
北向きの土地でも光いっぱいで、
心地よい風が通る家になりました。
光と風に関しては任せてください。
そして開放的な明るい家の中で、
自分スタイルの暮らしを楽しんでください。

自由にアレンジしていくことができ、
どんな場所に建てても
光と風がいっぱいのStyle@HOME。
その3つ目の特徴は言うまでもなく、
すぐれたデザイン性です。
建築家である以上、
デザインにこだわるのは当然のこと。
しかし私には、最近この『デザイン』という
言葉が非常に表層的な使われ方をしているように
思えてなりません。
たとえばデザイナーズマンションや
デザイナーズハウス。
きちんとしたコンセプトに基づいて
デザインされたものも、もちろんあるのでしょうが、
むしろ目に付くのは、
流行の材質や流行の間取りを採用していることで
デザイナーズハウスだと称しているようなものです。
はっきり言って、それはデザインではありません。
デザインとは、機能性を大前提にしたものです。
たとえば車や電車を思い浮かべてみて下さい。
それらは、いかに安定感があって
スピードが出るかを前提にデザインされています。
いくら"カッコよく"ても、
機能性にすぐれていなければ"ボツ"なのです。
さらに、
いいデザインは時を経ても色褪せません。
打ち合わせに伺った若いご夫婦の家で、
同居しているおばあちゃんの持ち物が
一番センスがあったという経験を、
私は何度もしています(笑)。
Style@HOMEを考案するにあたって、
私はD'S STYLE事業部の中島剛社長と
じっくり話し合いました。
その中で2人の意見が一致したのは
「ちゃんとしたものをつくろうよ」ということでした。
しっかりとしたコンセプトに裏打ちされた
デザインの家が増えれば、きっと人は反応してくれる。
そしてそれを求めている人は、
すでに大勢存在しているはずだ。
私たちはStyle@HOMEに、
ほんものの住宅を増やしていきたい
という夢を託しています。
ほんものの住宅とは、そこに住む人が、
暮らしをゆたかに楽しめる家です。
ヒトを元気づけ、シアワセにできる
デザインの力を、私は信じています。
